【がん予防・臨床研究】非ステロイド系抗炎症薬によるプロトンポンプ阻害薬関連除菌後胃癌に対する化学予防効果(川崎医科大学・鎌田智有)

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34263071/

JGH Open. 2021 Jun 5;5(7):770-777. doi: 10.1002/jgh3.12583. eCollection 2021 Jul.

Nonsteroidal anti-inflammatory drugs prevent gastric cancer associated with the use of proton pump inhibitors after Helicobacter pylori eradication.

 

近年、プロトンポンプ阻害薬(PPI)はH. pylori 除菌後の胃発癌の原因となる可能性が指摘されています。また、除菌後に難治性の酸逆流症状を発症し、PPIの長期使用を必要とする症例も少なくありません。本研究はPPI使用者における非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)と除菌後の胃癌発生率との関連性を検討しています。平均観察期間2.38年間に全患者の1.13% (31/2431)が胃癌を発症し、このうちPPI使用者の胃癌累積発生率は、NSAIDs使用者では1年で0.25%、3年で0.51%、5年で1.09%、一方、NSAIDs 非使用者では1年で0.89%、3年で2.32%、5年で3.61%であり、NSAIDs使用は胃癌リスクの低下と関連していました(補正ハザード比=0.28、P=0.005)。NSAIDsは抗炎症薬であるため、その抗炎症作用が胃癌発生の抑制に寄与していると考えられ、除菌後のPPI関連胃癌に対する化学予防に有効であると結論されています。(文責:川崎医科大学・鎌田智有)