理事長挨拶

日本がん予防学会 理事長 石川秀樹

 2016年に、日本がん予防学会として初めての理事選挙があり、選挙で選ばれた理事の互選により2017年1月1日より日本がん予防学会の理事長に就任しました。それから定期的に理事選挙、理事長の選任があり、8年弱、理事長を担当させて頂きました。今年も理事選挙と理事長の選任があり、私が引き続き、これから2年間、理事長を担当させて頂くことになりました。よろしくお願い申しあげます。

 8年前の理事長就任のご挨拶にて「がんの化学予防研究の推進・支援」と「国民へのがん予防啓発」の2つのテーマを掲げました。この2つのテーマについて、これまでの活動を振り返り、今後の方針を述べたいと思います。


「がんの化学予防研究の推進・支援」
 がんの化学予防研究の発展のために、学会において化学予防の基礎研究者、疫学者と臨床研究者が意見交換する場を設け、がん予防臨床試験実施を支援するため、数回の会議を開催し、会員からいくつかの研究テーマのコンセプトを提案頂いて討論しました。最近、あまりコンセプトの提案がなく、開店休業状態になっていますので、これからは、こちらから会員にコンセプト提案を依頼する形などにして、活発に研究テーマが議論できる場を維持したいと考えています。
臨床研究法や生命・医学系指針、個人情報保護法などにより、臨床研究の実施がとても難しくなってきていますので、がんの化学予防研究のインフラの一部を担えるようなシステムを維持したいと考えています。

「国民へのがん予防啓発」
 日本がん予防学会の主な目的のひとつとして、日本国民への正しいがん予防知識の普及があります。その目的の実行のために、「認定がん予防エキスパート制度」が設置されました。学術集会に合わせて、定期的にがん予防認定制度セミナーが開催され、これまでに25名のがん予防研究者が認定されました。認定者が市民公開講演等で講師をされる時には、この認定者であることを明記して頂くようにしています。まだまだ、認定者の人数は少ないですが、これからも継続してセミナーを開催し、認定者を増やし、正確ながん予防情報を多くの国民に情報発信できるように、引き続き、この事業は続ける予定です。
 本セミナーの対象者は、医療関係従事者(医師、保健師、看護師、栄養士、薬剤師など)、研究者、企業従事者(農学、栄養学部研究者、企業内研究者、公的機関研究者)などとしています。

 これからの2年間も、がんの化学予防研究の推進と、がん予防情報の市民への啓発を中心に学会活動を進めていきます。これからも本学会の活動につきまして、今後とも会員諸兄ならびに一般市民の方々の積極的なご支援・ご協力を心からお願い申し上げます。

2023年9月
日本がん予防学会 理事長
石川 秀樹
(京都府立医科大学分子標的予防医学)